神戸地方裁判所姫路支部 平成7年(ワ)615号 判決 1997年12月03日
原告
オカダ マナサス マルコス
原告
ゴメス ダ アノンシアソン レニール
原告
オカダ エドワルド ミツオ
右法定代理人親権者父
オカダ マナサス マルコス
同母
ゴメス ダ アノンシアソン レニール
原告
オカダ マルセーロ イト
右法定代理人親権者父
オカダ マナサス マルコス
同母
ゴメス ダ アノンシアソン レニール
原告ら訴訟代理人弁護士
竹下政行
同
上原康夫
被告
株式会社本譲
右代表者代表取締役
本條譲
右訴訟代理人弁護士
髙谷昌弘
主文
一 被告は、原告オカダ マナサス マルコスに対し、金四六万五〇八四円及びこれに対する平成八年二月二九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告は、原告ゴメス ダ アノンシアソン レニールに対し、金二一万八六二四円及びこれに対する平成八年二月二九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告は、原告オカダ エドワルド ミツオ及び同オカダ マルセーロ イトに対し、各金六万九五八〇円及びこれに対する平成七年九月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
五 訴訟費用はこれを二分し、その一を被告、その余を原告らの負担とする。
六 この判決の一ないし三項は、仮に執行することができる。
事実及び理由
(以下「原告オカダ マナサス マルコス」を「原告マルコス」、「原告ゴメス ダ アノンシアソン レニール」を「原告レニール」、「原告オカダ エドワルド ミツオ」を「原告ミツオ」、「原告オカダ マルセーロ イト」を「原告イト」という。)
一 原告らの請求
1 被告は、原告マルコスに対し、金八七万五〇八四円及びこれに対する原告ら作成平成八年二月二八日付訴変更の申立書送達の日の翌日(平成八年二月二九日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告レニールに対し、金六二万八六二四円及びこれに対する原告ら作成平成八年二月二八日付訴変更の申立書送達の日の翌日(平成八年二月二九日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告ミツオ及び同イトに対し、各金三一万九五八〇円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成七年九月六日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 事案の概要
本件は、日系ブラジル人夫婦が日本において就労した際の不払賃金の請求と家族四人のパスポートを保管していた雇用主が原告らの返還要求に直ちに応じなかったことに対する慰謝料を請求する事案である。
三 当事者間に争いがない事実
1 原告らは、ブラジル共和国から旅券の発行を得て、平成六年一一月二八日来日した。原告マルコスはいわゆる日系ブラジルⅡ世であり、原告レニールはその妻、原告ミツオ(来日当時八歳)及び同イト(前同六歳)は同夫婦の子らである。
2 被告は労働派(ママ)遣事業等を業とする株式会社である。
3 原告マルコス及び同レニールは来日後直ちに被告に雇用され、平成七年七月二二日に退職するまで、派遣先企業である兵庫県明石市所在の神足水産において就労した。
4 被告は、原告マルコス及び同レニールが神足水産に就労期間中、同原告らに対し支払われるべき賃金から経費名目で原告マルコスにつき五五万五五〇四円、同レニールにつき三〇万九〇四四円(被告は三七万九〇四四円を自白している。)を各天引き、右各天引き分の賃金の支払いをしない。
5 被告は、原告ら四名のパスポートを保管していたが、原告らが返還を請求しても直ちに返還に応じようとしなかった。原告らはパスポート返還の仮処分を申請し(神戸地方裁判所姫路支部平成七年(ヨ)第九八号)、その決定に基づく執行により平成七年六月八日にパスポートの返還を受けた。
四 当事者の主張
〔原告ら〕
1 前記賃金の天引き分は賃金の不払いであるから、原告マルコスは五五万五五〇四円、同レニールは三〇万円九〇四四円及びこれに対する原告ら作成平成八年二月二八日付訴変更の申立書送達の日の翌日(平成八年二月二九日)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
天引きの合意があったことは否認する。天引きの合意及び被告の相殺の意思表示は労働基準法二四条一項に違反する。
2 被告は、原告らの上陸の際、原告ら四名のパスポートを取り上げこれを保有し、原告らが返還を請求しても直ちに応じようとしなかったため、原告らはパスポート返還の前記仮処分を申請し、その決定に基づく民事執行により平成七年六月八日にパスポートの返還を受けることができた。
原告らは被告からパスポートの返還をうけることができなかったことにより、次のとおり各三一万九五八〇円の損害を被った。
・慰謝料各三〇万円
・前記仮処分に要した費用各一万九五八〇円(同仮処分に要した費用合計七万八三二〇円を原告四名で均等割りした額)
よって、原告らは右損害金及びこれに対する民法所定の年五分の割合による遅延損害金(原告マルコス及び同レニールは原告ら作成平成八年二月二八日付訴変更の申立書送達の日の翌日である平成八年二月二九日から、原告ミツオ及び同イトは訴状送達の日の翌日である平成七年九月六日からの(ママ)支払いを求める。
〔被告〕
1 原告マルコスの賃金からの天引き分五五万五五〇四円の内訳は、次のとおりである。<1><2>の明細は別紙(編集部注=略)「原告岡田マルコス雑費明細一覧表」のとおりであり、<3>は同原告の平成七年三月分の賃金から天引き精算した。
<1> 渡航費用三三万円
<2> 光熱費等四万五〇四四円、クリーニング代四〇〇〇円
<3> 原告マルコスの弟サムエル夫婦の被告に対する未払いに(ママ)渡航費用一七万六四六〇円
2 原告レニールの賃金からの天引き分は三七万円(ママ)九〇四四円で、その内訳は次のとおりであり、明細は別紙「原告岡田レニール雑費明細一覧表」(編集部注=略)のとおりである。
<1> 渡航費用三三万円
<2> 光熱費等四万五〇四四円、クリーニング代四〇〇〇円
3 渡航費用については、被告と原告マルコス及び同レニールとの間に、来日前に、被告がこれを立替え、同原告らはこれにつき一〇回の均等分割払いをするとし、右分割金を毎月の給与にて精算する旨の合意が成立し、来日後直ちに右合意を確認した。
同原告らを含めて神足水産で就労していた者は、自己の生活に必要な電気・ガス・水道・電話を共同で使用していたため、右各料金を員数割りで各人の負担額を算出し、毎月の給与にてこれを精算することになっていたが、被告と同原告らとの間に、毎月一人あたり六〇〇〇円までは被告が負担し、六〇〇〇円を越(ママ)える額につき同原告らの毎月の給与にて精算する旨の合意が成立した。
同原告らより先に来日し、同原告ら同様に被告に雇用され神足水産で就労していた原告マルコスの弟サムエル夫婦は、被告が立替払いした渡航費用の未払いをのこしたまま、平成七年二月八日突然行方不明となったのであるが、被告の申入れにより、原告マルコスは右サムエル夫婦の渡航費用の未払いを同原告の平成七年三月分の給与にて精算支払うことに同意した。
4 右各精算の合意がなかったとしても、被告は原告マルコス及び同レニールに対し右各天引き分につき立替金返還請求権ないしは不当利得返還請求権を有するものであるから、被告作成平成九年五月二一日付準備書面の陳述により、右請求債権をもって同原告ら請求の賃金請求権と相殺する。
5 パスポートの保管及びその返還について
被告は原告マルコス及び同レニールから原告らのパスポートの保管を依頼されて保管していたものであり、同原告らからパスポートの返還を要求され異議なく返還した。仮処分事件に発展してしまったのは、同原告らと被告担当者との言葉の違いから意思疎通を欠いたためであり、被告に悪意があったものでなく、被告の行為に違法性はない。
五 争点
1 天引きの合意ないしは相殺の合法性
2 パスポートの保管及びその返還における被告の行為の違法性
六 裁判所の判断
1 (天引きの合意ないしは相殺の合法性について)
(1) 証拠(<証拠・人証略>、原告マルコス本人、弁論の全趣旨)によれば、次の事実が認められる。
原告マルコス及び同レニールは、来日前にブラジルにおいて職業斡旋業者のオチアイを介して被告の紹介を受け、被告のもとで就労することが決まると、オチアイを介して被告に(証拠略)の誓約書を差し入れた。同書証は、日本語とポルトガル語とで併記され、渡航に要する航空運賃二〇七八USドルは被告が立替えること、同原告らは右金員を一〇回の均等分割で支払うことが約されたものである。オチアイは日本語とポルトガル語に通じ、また原告マルコスは三回目の来日であるので、同原告らは同書証の内容を十分理解して署名し、右分割金については、就労後、毎月の給料から支払っていくことを理解していた。
なお、右航空運賃二〇七八USドルは日本円で二一万円であるというのが、同原告らと被告との一致した認識であった。
同原告らが神足水産で就労を始めた直後である平成六年一一月三〇日に、被告の担当者である冨井一敏(以下「冨井」という。)は、神足水産に赴き、作業中の同原告らを呼び、(証拠略)の書面に署名を求めた。(証拠略)は、同原告らは被告が立替えた航空運賃三三万円を一〇回の均等分割で支払うことが約されたものであり、日本語とポルトガル語とで併記されている。航空運賃は二一万円であると認識していた原告マルコスは右書面に疑問を感じたが、(証拠略)は全文日本語で同原告には全く理解できないものであり、「保険に関する書類だ」との通訳をした同僚の言葉に促されて、作業中であることに遠慮して十分に書面を確認することなく、これらの書面に署名をした。
そして、初回の給料である平成六年一二月分から渡航費用の分割金三万三〇〇〇円が毎月天引きされた。同原告らは右天引き額には不満であったが、異議を述べることはしなかった。
ところで、渡航費用三三万円には、航空運賃一人につき二〇万四二六八円、在留資格変更手続に要する行政書士の費用一六万円のほか、空港までの車両経費、外国人登録の費用及び経費を含め、原告マルコス及び同レニールにつき各三〇万八六一一円の経費を要したことが認められるが、被告はこれにいくらかを上乗せして渡航費用を各三三万円としたものである。
(2) 右認定事実によれば、航空運賃各二一万円については、原告マルコス及び同レニールと被告との間に、一〇回の分割払いの合意及び毎月の給料から同分割金を精算する旨の合意があったものと認められる。右精算の合意は、同原告らの任意によるものと認められ、かつ分割金の内容、金額等に照らし、同原告らの不利益となるものではなく、却って利益な面もあること(原告らは渡航費用を自ら用意せずに渡航し、直ちに日本で就労でき、就労しながら返済ができる。)、支払いの煩雑を避けうることから合理的であり、労働基準法二四条一項の規定にかかわらず有効なものと認められる。
また、航空運賃以外の渡航に必要な経費についても、それが同原告らが当然負担すべきものであるかぎり、航空運賃と同様に分割で支払う旨の合意と給料から精算する旨の合意があったものと認めるのが相当である。
ところで、航空運賃二一万円のほかに要する渡航に必要な経費のうち、在留資格変更手続に要する費用は同原告らが負担すべきものと認められ、その余の費用・経費は同原告らが当然負担すべきものとは認められない。被告は在留資格変更手続に要する行政書士の費用として原告ら四人分で合計一六万円を計上するが、行政書士に一六万円を支払ったことを認めるに足りる証拠はない。
(3) 同原告らは被告が用意した生活必需品付きの住居に居住し、寮費として毎月各三万円を支払っていた。原告らが自己の生活に必要な電気・ガス・水道・電話代金については、同原告らが負担するのが原則であろうが、毎月一人あたり六〇〇〇円までは被告が負担することを被告が自認しているので、そのような取扱がなされていたものと認められる。被告は、電気・ガス・水道・電話は神足水産の従業員が共同で使用していたため、右各料金を員数割りで各人の負担額を算出し、毎月の給与にてこれを精算することになっていた旨主張するが、これらを共同で使用していた事実を認めるに足りる証拠はない。因みに、書証として水道料金については同時期分として二箇所、電気料金については三箇所の領収書が提出されており、同原告らが居住していない場所の使用料も合算されているものと思われ、また、六〇〇〇円を越(ママ)える額につき、計算の明細が全く示されていない。
よって、光熱費加算分としての天引きは認められない。
なお、クリーニング代各四〇〇〇円についても、これを最終の給料から天引くことの合意があったことは認められない。
(4) 前掲各証拠及び(証拠略)によれば、次の事実が認められる。
原告らより先に来日し、原告マルコス及び同レニール同様に被告に雇用され神足水産で就労していた原告マルコスの弟サムエル夫婦は、被告が立替払いした渡航費用の未払いをのこしたまま、平成七年二月八日突然行方不明となり、その後被告にパスポートの返還を求め、これに対し被告は渡航費用の支払いを条件にその返還を拒んでいたが、他方、被告はその担当者をして、原告マルコスに右サムエル夫婦の渡航費用の立替えを申し入れた。被告は、今後サムエル夫婦が原告マルコスに送金してくる話がつき、原告マルコスが右渡航費用の立替えに同意したと解して、平成七年三月一日にサムエル夫婦のパスポートを原告マルコスに返還し、同原告の平成七年三月分の給与にて右渡航費用を精算し天引きした。
原告マルコスは、被告から右申入れがなされたことは理解したが、言語の違いから十分は意思疎通がなされず、同原告が同意とも不同意とも態度を明確にしないうちに、被告により前記措置がとられたものである。
右認定事実によれば、サムエル夫婦の渡航費用の立替えについては、原告マルコスの同意があったとは認められず、また仮にあったとしても、同原告の平成七年三月分の給与から精算する旨の合意があったと認めるに足りる証拠はない。
(5) 以上の次第であるから、原告マルコス及び同レニールの渡航費用各二一万円についてのみ給料からの天引きは有効であり、その余の天引き分は有効なものとは認められない。
被告は、右認められなかった天引き分について相殺の意思表示をしたが、前記認定によれば、被告が相殺の自働債権とすべき原告マルコス及び同レニールに対する立替金請求債権ないしは不当利得返還請求債権を有すると認めることができない。その他右事実を認めるに足りる証拠はない。
2 (パスポートの保管及びその返還における被告の行為の違法性について)
(1) 前掲各証拠及び(証拠略)によれば、次の事実が認められる。
被告は、原告マルコス及び同レニールの来日前に同原告らが被告に(証拠略)の誓約書を差し入れることを求め、また来日後直ちに(証拠略)の誓約書の差し入れを求めた。これら誓約書によれば、同原告らからパスポートの保管を被告に依頼する旨記載されている。これら書面はポルトガル語で記載されているので、同原告らも理解して署名したものである。被告担当者は原告らが上陸した直後、空港において原告らが所持していたパスポートの交付を受けこれを保管した。
被告が原告らのパスポートを保管する目的は、被告が渡航費用を立替えている関係から、原告らの来日後少なくとも同渡航費の返済が済むまでは、契約どおりに就労してもらうことを保障するためであり、さらに、外国の生活に不慣れな原告らのパスポートの盗難や紛失を防止し、外国人登録や在留資格変更等の諸手続を被告側で主導して行うためである。したがって、原告らのパスポートが被告に保管されることは、主として被告の利益のためではあるが、必ずしも原告らの不利益であると直ちにいうことはできない。原告マルコスは日本において就労するのは今回で三回目であるから、被告が原告らのパスポートの保管を要求する理由を概ね理解していたものである。
原告マルコスが、被告担当者に初めてパスポートの返還を求めたのは、平成七年一月一七日の阪神大震災が発生した直後であり、それは自己及び家族の生命の危険を感じたからであり、災害が拡大した場合には迅速に転居または帰国せざるをえない事態が発生するかもしれず、パスポートを手元に所持しておく必要を感じたのである。そのときは、在留資格変更の手続のために原告らのパスポートは行政書士のもとにあり、その後被告のもとに戻ったパスポートをもって原告らは明石市役所でビザの更新手続を行い、再び被告がパスポートを保管した。原告らは、その後も被告担当者にパスポートの返還を要求したが、日本語が十分話せないためその意思が伝わらず、原告らの支援者からの伝言や警察の指導もあったが、被告は原告らの右返還の要求を軽く受け止め、渡航費用の残額の返済を要求して同返還要求に応じなかった。そのため、原告らはパスポート返還の前記仮処分を申請し、その決定に基づく執行により平成七年六月八日にパスポートの返還を受けることができた。
原告マルコス及び同レニールはパスポートの返還をうけた後もそれまでどおり神足水産で稼働し、平成七年七月二二日に退職した。
幸い震災は余震を残しながらも終息に向かい、原告らがパスポートを具体的に使用する必要性は生じなかったのである。
(2) 右認定事実によれば、被告が前記認定の目的で原告らのパスポートを保管することは、その保管が原告らの任意な依頼によるものであり、原告らの返還要求に直ちに応ずるものであるかぎり、違法なものということはできない。原告マルコスからの返還要求があるまでの期間の被告のパスポートの保管行為は原告らの任意な依頼によるものと認められ、違法ということはできない。
原告マルコスの返還要求は、何かの手続にパスポートが必要である等の具体性を欠いていたものとはいえ、阪神大震災の被災地及びそれに近接した地域である明石市に居住していた人々が生命及び財産の危険を感じたことは当然であり、ことに地理に不案内で縁戚者のいない外国人の恐怖感と不安感はいうに及ばないところである。このような状況に照らすと、同原告のパスポートの返還請求は正当であり、被告は直ちにこれに応ずるべきであったといわざるをえない。渡航費用の残額の返済がないことを理由に同返還を拒むことは、公序良俗に反し許されないというべきである。
よって、同原告のパスポートの返還請求以後の被告の保管行為は違法である。
(3) 原告らの損害
前記認定事実及び原告らの年齢等を総合して、原告らがパスポートの返還を受けられなかったことによる慰謝料として、原告マルコス及び同レニールにつき各一〇万円、原告ミツオ及び同イトにより(ママ)五万円が相当である。その他、右認定を左右するに足りる証拠はない。
また、パスポート返還の仮処分に要した費用七万八三二〇円を原告四名で均等割りした一万九五八〇円を原告ら各人の損害と認めることができる。
3 結論
以上の次第であるから、
(1) 原告マルコスの請求については、賃金からの天引き分のうち渡航費用二一万円を控除した残額三四万五五〇四円及び被告がパスポートを返還しなかったことによる損害金一一万九五八〇円とこれらに対する遅延損害金の支払いを求める限度で理由があり、
(2) 原告レニールの請求については、賃金からの天引き分のうち渡航費用二一万円を控除した残額九万九〇四四円及び前同様の損害金一一万九五八〇円とこれらに対する遅延損害金の支払いを求める限度で理由があり、
(3) 原告ミツオ及び同イトの各請求については、前同様の損害金六万九五八〇円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求める限度で理由がある。
(裁判官 宮本由美子)